限りある時間の使い方

『限りある時間の使い方』を読了したため、同書を読んで考えたことをつらつらと書いておく。

 

後で思い返すためにも書き残しておくべきだか、直近の自分は半分鬱状態であった。明らかに自分の手に余る難易度や量のプロジェクトを引き受け、結果一つ一つがスケジュール通りに進行しない、中途半端なクオリティに終わる。必死で仕事しようとも思うが、締切が遠ければダラダラとSNSで時間を潰す。そしてそのことがさらに自己嫌悪をつのらせ仕事の能率を下げる。そんなふうに仕事に日々の大半を少なくとも気分的には費やしているのに、こんな仕事になんの意味があるのかと考えている。本当はもっと価値のある何かに自分の時間を使うべきのではないか、本当の自分はもっと価値のある人間なんじゃないか、そんなことを考えては暗い気持ちになる。こんな具合である。

 

さてそんな自分にとって本書は少なくとも、時間は自分の思い通りにコントロールなんて出来ない、やりたいことやらなきゃいけないことがあるなら今やるべきだし、自分が投げ込まれた唯一のそしてあり得なかったかもしれないこの人生に感謝して楽しむしかない、と思わせてくれるものだった。

 

切迫感や不安感に飲み込まれそうになったときのために、気に入った言葉を引用しておく。

 

引用編

やるべきことはいつだって多すぎるし、これから先もそれはきっと変わらない。そのなかで心の自由を得るための唯一の道は、「全部できる」という幻想を手放して、ひと握りの重要なことだけに集中することだ。

そういつだってやるべきことは多すぎる。いつか落ち着いたらと思うけどそんなときは一生来ない。全部のタスクをこなし、他者の期待(実はこの世で一番意味のないもの)に無限に応えようとするのを諦めるしかない。

 

何かが存在することが、どれほど驚異的か。それに気づかない人は、自分の人生を当たり前のものだと考える。自分の人生はすべて自分の好きにできるものであって、絶対に奪われてはならないと思い込んでしまう。でも、逆に考えてみてほしい。無限にあったはずの時間を奪われるわけではない。そもそも、時間が少しでもあること自体が、不可解なほどに奇跡的なことなのだ。

自分が望んでない出来事や感情に晒されてるときなんて理不尽なのかと思うが、本当は自分の人生があること自体が脅威なのだ。今不快や不安を感じている自分を受け入れ、そのことに驚き感謝したい。

 

難しいタスクを落ち着いてやり遂げるには、完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認めたほうがいい。苦痛や退屈を否定せず、今起こっていることをそのまま見つめたほうがいい。

難しいタスクはいつまでたっても難しいし悩ましい。放置してたら好転することはない。頭痛を抱えながら淡々と取り組むのである。

 

「何が起ころうと気にしない」生き方とは、未来が自分の思い通りになることを求めず、したがって物事が期待通りに進むかどうかに一喜一憂しない生き方だ。それは未来を良くしようという努力を否定するものではないし、苦しみや不正をあきらめて受け入れろという意味でもない。そうではなく、未来をコントロールしたいという執着を手放そうということだ。

何が起ころうと気にする必要はない。いちいち反応するのをやめて、淡々とやるべきことをやろう。

 

でも本当は、計画というのは、すべて現時点での意思表示にすぎない。自分のささやかな影響力で未来にどう働きかけたいか、その考えを明らかにしているだけだ。

あらゆる計画は大抵思い通りにならない。計画がなければ物事は前に進まないが、計画どおりにできなかったことを気に病んでも仕方ない。次は後1ミリましな計画を作ろう。

 

現代に生きる僕たちは、休みを「有意義に使う」とか「無駄にする」という奇妙な考えにすっかり染まっている。将来に向けて何らかの価値を生みださないものは、すべて単なる怠惰でしかない。休息が許されるのは、働く元気を取り戻すためだけだ。こうして純粋な休息としての休息はどんどん肩身が狭くなっていく。将来のためにならない過ごし方をすると、なんだか悪いことをしたような気分になる。

休息とは休息である。何かのための手段でない純然たる目的としての時間だからこそ価値があるのだ。生産的な休みなどという暴論に惑わされるな。

 

「ある老人がワインを飲み、満ち足りた気分になる。そのことに価値がないというのなら、生産も富もただの空虚な迷信にすぎない。生産や富に意味があるのは、それが人に還元され、暮らしを楽しくしてくれる場合だけだ」

楽しみを否定し、すべてを将来のための投資とするすべての価値観や言説に。

 

あなたの日々は、完全無欠の未来のための準備期間ではない。そんな仮定で生きていたら、人生の4000週間を充分に生きることはできない。

今に集中しよう。

 

「椅子でお湯を沸かせないからといって、椅子に失望する必要はない」とランダウは言う。椅子はもともとお湯を沸かすようにつくられていないのであって、そんなことを期待するほうがおかしいのだ。「自分がミケランジェロモーツァルトアインシュタインと同等の業績を残せると考えるなら、そもそも期待値の設定がまちがっている。人類の歴史でそれほどのことを為した人は、まだほんの数十人しかいないのだから 」

自分の人生に価値がないかもと悲観したときに。

 

現実的なテクニックのメモ

本書では時間へのコントロールを諦めると同時に不安感から離れて今に集中するためのテクニックが紹介されているため、実践のためにメモする。

 

1.同時進行させるプロジェクトは3つまで。3つ以上のプロジェクトは推進できないと認め諦める。

2.タスクリストは開放と固定に分けて、開放には好きなだけ入れる。固定に入れられるのは10つまでにする。

3.仕事の時間を決める。